世界的にスタンダードな資産運用とはどんなものでしょうか? 今回のコラムでは、世界最大級のファンドがどんな運用をしているのかについて、詳しくご紹介します。
例に挙げるのは、運用する資産が100兆円以上と世界最大級の「ノルウェー政府年金基金」。約500人の資産運用の専門家が運営に携わっています。
ノルウェー政府年金基金は、国民の将来の生活を支える大切な政府財源として、リスクを抑えながら、じっくりと資産を育てることを目標にしています。北海油田から得られる石油や天然ガスの収入を元手に、1998年から20年以上、運用を続けてきました。
いったいどのような運用をしているのでしょうか。
ノルウェー政府年金基金が行っているのは、「長期・積立・分散」の資産運用です。
原油収入を定期的に積み立て、投資対象を世界中に分散しながら、長期的な視点で運用しています。ポートフォリオ(資産の組み合わせ)を見ると、世界中の株式や債券、不動産に幅広く、73カ国9,123銘柄に分散投資していることがわかります。
こうして分散投資をしながら、短期的なマイナスのリターンを受け入れつつ、長期的なリターンの最大化を目指していると言えるでしょう。
ポートフォリオは、相場の動きに合わせて頻繁に変更されることはありません。相場が急落したとしても、資産の大部分を売って現金化するといったことはなく、あらかじめ決められた方針に従い淡々と運用を続けます。
たいこうNaviが行っているのも、「長期・積立・分散」の資産運用です。ポートフォリオは、世界最大級のファンドであるノルウェー政府年金基金と似ています。
ノルウェー政府年金基金が株式、債券、不動産に投資しているのに対し、たいこうNaviは株式、債券、金、不動産など約50カ国1万2,000銘柄(2024年4月現在)の資産に投資しています。
500人もの資産運用のプロが運用しているノルウェー政府年金基金のパフォーマンスは、つねにプラスなのだろうと思う人もいるかもしれません。1年ごとのリターンを見てみましょう。
運用をスタートした1998年から2020年までの23年のうち、5年はマイナスのリターンになっています。プロであってもリターンがつねにプラスというわけではないのです。
続いて、1年ごとのリターンではなく、長期のリターンを見てみましょう。1998年から2020年までの累積パフォーマンスは、約4倍(平均すると年6.3%)」と大きなプラスになりました。リーマン・ショックが起こった2008年には大きく資産を減らしていますが、長期で見ると、その影響は限定的だったことがわかります。
世界最大級のファンドであるノルウェー政府年金基金は、相場が急落したときにも、方針を変えて「長期・積立・分散」の資産運用をやめてしまったりはしません。
あらかじめ決めた方針に従い、淡々と資産運用を続けていきます。
個人で「長期・積立・分散」の資産運用をしている場合、リターンがマイナスになると、「このまま続けていていいのか」と不安に感じるかもしれません。相場が急落すると、特にそう感じる人も多いのではないでしょうか。
しかし、「長期・積立・分散」の資産運用は、すべての年でリターンがプラスになるものではありません。10年、20年という運用期間トータルで大きなプラスのリターンを狙います。
景気の一時的な悪化などによる短期的なマイナスのリターンに一喜一憂せず、10年、20年と長い目で資産運用をすることが大切です。
(注)ノルウェー政府年金基金のデータについては、同基金が公表している ”Annual report 2020”(2021年2月発行)より引用、文中のグラフは当該データをもとにウェルスナビ社にて作成