資産運用において有効と言われている手法のうち、「長期投資」は個人投資家にぜひ活用していだきたい方法です。
「長期投資」は、短期的な相場変動に一喜一憂せず、10年以上の長期的な目線で資産を大きく増やすことを目指します。
今回は、長期投資を行うにあたって、大切なポイントを3つご紹介します。
投資の指南書などで、「利益確定」、つまりリターンがある程度プラスになったら、売却してその利益を確保することを勧めることもあります。
ただ、この利益確定は、個別株への集中投資などにおけるテクニックであって、世界中に幅広く分散投資をするたいこうNaviでは、必要ないと考えています。
さらに、長期投資を行う上では、利益確定には次のようなデメリットがあります。
・タイミングの見極めが難しい保有する銘柄が上昇し含み益が出たときに利益確定を行ったとしても、そこからさらに値上がりするかもしれません。相場の先行きを正確に予測して、適切な売却のタイミングを見極めることは非常に困難です。
・利益には税金がかかる利益確定を行うと、税負担が発生して運用資金が減少します。その後資産運用を再開(再投資)するとき、運用資金が減っていると、得られる利益も小さくなってしまう可能性があります。含み益が出ても売却しなければ課税されません。
・複利効果を生かせない複利効果とは、資産運用で得た利益を元本にして再び投資を行うことで、「利益が利益を生む」効果のことを指します。
複利効果を得られることは資産運用の大きなメリットの1つですが、利益確定により資金を引き出してしまうと複利効果を生かすことができません。利益を再び投資に回すというサイクルを長期的に継続して行うことで、複利効果を得ることができます。
・手間が増える利益確定をするためには、常に時間をかけて情報収集を行い、タイミングを見極めて、売却の注文を出す必要があります。手間や時間がかかるため、忙しい社会人には向いていません。
何らかの事情で資金が必要になったときは、必要な分だけを引き出し、残りは資産運用を続けましょう。退職して、資産を蓄える時期から使う時期に移行しても、考え方は同じです。
退職後は、いきなり資産運用をやめるのではなく、資産運用を続けながら、使う分だけ引き出していくことで、資産が減っていくスピードを和らげることができます。
今すぐ使う予定がない場合は、あらかじめ決めた方針で淡々と資産運用を続けていきましょう。
相場はつねに変化しており、資産運用のリターンも毎日、変動します。投資のプロでも、相場動向を正確に予測し、プラスのリターンを出し続けることは難しいといわれています。
以下のグラフは、2000年以降の米国株のリターンを1年ごとに示したものです。1998年から2017年までの20年間、米国株をずっと保有していた場合の年率リターン(1年あたりのリターン)は、6.4%でした(※)。
ただ、毎年6.4%という一定のペースで資産が増えたのではなく、各年のリターンは大きなプラスから大きなマイナスまでバラバラでした。
資産運用においては、リターンがずっとプラスであることのほうが珍しく、リターンが短期的にマイナスになるときがあるのは、いわば当たり前のことです。
長期投資では、1年ごとの成果を見るのではなく、10年や20年といった長期間の成果を見ることが大切です。短期的なマイナスのリターンは受け入れて、長い目で資産運用を続けていきましょう。
資産運用のリターンは長期的にみるものだとわかっていても、短期の相場変動によってつい非合理的な行動を取ってしまうことがあります。
相場が上昇すれば強気になってさらに買いたくなり、相場が下落しているときは焦って資産を売却してしまうなど、相場の変動を前にして冷静な思考を失い、最悪のタイミングで売買してしまう可能性があります。
このような心理的な罠を避ける方法の1つは、積立投資を行うことです。一定間隔・一定金額で機械的に投資を行うことで、心理の影響を軽減することができます。
今までに資産運用を行ったことがある方なら、リターンがマイナスになって辛い思いをしたことが一度はあるのではないでしょうか。逆に、一時的にリターンがプラスになったときは、含み益を失わないように焦って利益確定をしてしまうこともあるでしょう。その後もさらに相場が上昇して、「あのとき売らなければよかった」と後悔した経験のある方も多いかもしれません。
資産運用を行っていると、大切な資金を失ってしまう不安や焦りから、つい非合理的な行動をとってしまいがちです。
非合理的な行動を避けて、安定したリターンを得るために、短期の動きには左右されずに長期的な視点に立って資産運用を行うことをお勧めします。そのための考え方として、今回ご紹介した内容を参考にして頂ければ幸いです。
たいこうNaviは、積立投資を含めて、資産運用に関わるプロセスを全て自動化したサービスです。客観的なアルゴリズムを用いて資産運用を行うため、心理的な影響を軽減することができます。長期投資を行うためのツールとして、ぜひご活用ください。
※ 米国株として円建て換算したS&P500指数(配当込み)